相馬田んぼアート

〒976-0025 福島県相馬市岩子北稲田144
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高松→越前→静岡→六本木→相馬 皮トンビ
2023年12月〜2024年4月まで展示

搬出

約4ヶ月間厳しい自然にさらされた「皮トンビ」は、青森県立美術館での個展まで、一旦お休みすることになりました。

4月にしては暑いくらいの陽気でしたが、お昼過ぎから始まった撤収作業は思いのほか順調に進み、夕方前には無事に作業は終了しました。

強い日差しや風雨、雪にさらされ、皮は硬くなり、展示前より50〜70cmも縮んでしまいました。小さくなった「皮トンビ」はなんだか愛らしく、梱包して触れているうちに、自然と愛着を感じていました。

「皮トンビ」が擁壁に擦れたことで、崖の汚れが削れ、皮トンビの跡が残っているのを見たとき、この数ヶ月の過酷さを実感しました。寂しさを感じながらも、「皮トンビ」と同じ目線で崖の上から見た田園風景を思い出し、「次はどこへ行くのだろう」などと考えてしまい、ほんの少し罪悪感を覚えました。

皮トンビ

展示前の配置イメージ

鴻池さんの本のデザインなどを長年されているデザイナーの小川順子さんと、建築家の浅沼秀治さんが、今回、『皮トンビ』の展示場所としてご協力いただいた、田んぼアートの遠藤友幸さんをご紹介いただきました。

浅沼さんによる現地リサーチや打ち合わせなどから、遠藤さんのご自宅の裏山に「皮トンビ」を設置することになりました。ただ、実際に展示するとなると、さまざまなハードルがありそうで不安でした。

そうした中、設置のためのZoomミーティングが行われましたが、これがとても素晴らしく、印象に残るものでした。浅沼さんの構造やちょっとした地形の変化に対する視点と、それをすぐに図面化しての説明、鴻池さんのインストーラー歴も長い職人の森田州さんの経験からの的確な指摘、適時確認する鴻池さんの描くスケッチなど、皆さんの魅力が詰まったミーティングで、録画しておけばよかったと強く思うほど、充実した内容でした。ものづくりの本質的な楽しさを改めて実感するミーティングでした。

イメージを共有することで不安が和らぎ、楽しみと緊張が入り混じる気持ちで作業当日を迎えました。

鴻池さんのスケッチ

当日は田んぼアートの皆様や、飛び入りでご協力いただいた皆様のおかげで、時折、強い風が吹く中ではありましたが、大きなトラブルもなく無事に設置されました。

また、遠藤さんのお宅で美味しい食事を囲みながら、新たな『縁』が生まれる瞬間を感じ、このプロジェクトが大きく動き出す分岐点になったように思いました。

ご協力いただいた皆様本当にありがとうございました!

展示作品

高松→越前→静岡→六本木→相馬 皮トンビ

2022年
牛革、水性塗料、クレヨン
約 1200 × 550 cm

本ページの背景に用いている地図/出典:国土地理院/地理院タイル「地球地図(標高)」及び「陰影起伏図(全球版)」を加工し作成。